……いくちゃんは悩んでいました。
ゴールデンウィークの記事も書き終えていないのに、次の遺跡に行っても良いものか……と。
縄文の書籍も、旅先でたくさん積んでしまった。
せめてこれを読んでからの方が……。
でもね、行っちゃったよ。
青森にいられる時間は限られているのだ。
ぱーっと回りながら書けば良いではないか。
HAHAHA。
というわけで6月11日、『北海道・北東北の縄文遺跡群』より、構成資産の「小牧野遺跡」(青森市)へ行ってまいりました!
小牧野遺跡は公共交通機関が少々貧弱なので
そんなに早く行ってもバスがないので、少し余裕を持って出ます。
青い森鉄道に一時間ほど揺られたら、青森駅でバスに乗り換えです(この頃のいくちゃんの最寄りは野辺地(のへじ)駅でした)。
ただしバスの本数もとても少ない。
すぐ近くに行くバスは、青森駅からだと……一日二本っぽい((
少し遠くても徒歩を組み合わせましょう。
グーグルマップで経路を検索すれば、良い感じの時刻のルートが見つけられますね。
夢のような時代です(※ただしたまに経路として存在しないバス路線とかありますが、ええ)。
いくちゃんが乗ったバスは、8:58発、M44の旭町通り線です(運賃は470円)。
「大別内(おおべつない)」というバス停で降りれば、徒歩32分の距離だそう。
これなら9:58には、小牧野遺跡の展示施設に辿り着けます(※着けませんでしたがw下記参照)。
30分も歩きたくない! ってことで最寄り駅を目指してしまうと……。
入内線とか大柳辺線ってのに乗ると、一応徒歩5分程度で行けます。
ただし、公式のアクセス案内だと小館着(入内線)と野沢着(大柳辺線)で2パターンあるものの、どちらも到着は12時台です。
だいぶ時間を損してしまいますね。
帰りのバスも少ないのですから、早く着ける分は早く行ってしまいましょう。
その場合、高田線というのに乗っても徒歩29分ですが、いくちゃんは旭町通り線(大別内下車)をおすすめします。
何故なら、徒歩ルートでこの川を渡れるからです。
橋も小さく川の名前は書いていない。
ちょっと気になったんですが、見つけられませんでした……。
しかし、無事に後で判明します。
荒川ですね(たぶん)。
小牧野遺跡と大いに関わりのある川なので、せっかくですからこの道を通っていきましょう。
フィールドワークです。
縄文の学び舎・小牧野館までの道のりは、ささやかな生き物観察でも楽しい
ついでに動植物を観察して楽しみます。
いくちゃんこの頃、某スマホアプリにハマっていたのですよ……。
Biomeってアプリです。
動植物の写真同定アプリなんですが、よくあるAI識別だけではありません。
よくわからなければ、有識者の方が人力で同定してくれるのです。
もちろん質問してもOK。
そして多くの種類を集めて行けば、メダルがレベルアップしていくのですね。
コレクション意欲を掻き立てられます。
そんなわけで……。
田んぼの脇で見つけたヒメオドリコソウとか。
好きなんですよね、ヒメオドリコソウ……。
わーいわーいと喜んでこれを撮っていたら、「何かあったの?」現地の方に話しかけられました。
い)「この生き物を撮ってたんです!」
現)「何か生き物いた?」
い)「えっ、この……これ、これです(ヒメオドリコソウに触れながら)」
現)「あぁ、花」
……植物も動物も〝生き物〟というくくりで最初に見てしまうのですが、多くの人にとって植物は生き物として目に入っていないのだろうなぁ。
そして住宅地を抜けたら橋を渡り、植物が侵食している歩道を歩いて行きます。
ついついコレクションが捗ってしまう……。
路上一面に咲くツルマンネングサとか。
何となく多肉植物っぽい見た目していますが、普通に多年草みたいです。
ふっくらしていると可愛らしさが出ますね、なるほど。
葉の先が黄色っぽく鋭くなっているのも、ふっくらした形を強調してくれると同時に、黄色い花と馴染む効果もあって良い感じ。
花がシャープに黄色いのも、ふっくらした葉と対比的に目立ちつつ、全体が引き締まって良い塩梅です。
……いくちゃんは絵描きでも華道家でもないですが、こういうニュアンスの出し方は知っておくと役立ちそう(何に?)。
昆虫もたくさんいます。
冒頭でも写真を載せたヘラオオバコは、にょきっと茎を真っ直ぐ伸ばして背は高いのに、ロゼット型でもあって特徴的ですね。
そこにふわふわと集まっているのがシオヤアブ!
飛んでいる虫を撮れるとちょっと達成感あります。
いくちゃんは今まで昆虫にはあまり目を向けていませんでしたが……Biomeをきっかけに見えるようになってきました。
こういうの嬉しいですねぇ。
バラの仲間も花を咲かせていたし……。
チョウも撮れましたよ! ゆったりと羽を動かしていました。
スマホでテントウムシにピントが合ったのは嬉しいですね……!
そんなわけで、30分程度のはずの道のりがやたら長くなってしまい……ええ、倍くらい掛かってしまった……。
どんな場所も楽しみようですが、やはり生き物の多い道は嬉しいですね。
でもヒトばっかりは別です、生き物だけどさぁww
特に後悔していませんが、遺跡を見る時間は限られていますので、ゆっくり見たいのであれば自重した方が良さそうです(笑)
……いや、これでも結構我慢して(ry
なお、普段はタブレットで写真を撮っていますが、Biomeはスマホなので写真のサイズが違います。
ご了承ください。
いくちゃんって都市で生まれ育った人間なので、基本、自然への造詣が浅いんですよね。
でも世界遺産って、文化遺産だけじゃないじゃないですか?
昨今は「文化的景観」っていう、複合的な存在も増えていますし。
そんなわけで、身近でささやかなところから、自然に対する感性を磨く工夫の一つです。
よって後悔はしていません、が……。
まぁ、うん(時計を確認しながら)
小牧野遺跡保護センター 縄文の学び舎・小牧野館へ
ちょっと道草で遊びすぎてしまいましたが、無事に辿り着きました。
世界遺産『北海道・北東北の縄文遺跡群』より、「小牧野遺跡」のガイダンス施設――。
「小牧野遺跡保護センター 縄文の学び舎・小牧野館」です(長い
こちらは旧小学校を改修しています。
あぁ、何となく聞き覚えのあるプロフィールですね……。
キウス周堤墓群の「千歳市埋蔵文化財センター」とか、二ツ森貝塚の「二ツ森貝塚館」とか……。
過疎化とか少子化が……(遠い目)
旧小学校にしても小さい気がする……。
いくちゃん卒業の小学校は三階建てだった気が。
いくら改修したと言っても、三階建てが二階建てになることはないでしょう。
最初から二階建てだったんですね。
2012年に閉校、旧野沢小学校だそうです。
地域差……色んなところで感じさせられますね……。
内部は改修してあるので、明るい色彩のバリアフリーですね。
「縄文の学び舎・小牧野館」(略したw)は、入館無料の施設です。
――が、ここで初めて興味深いものを見つけました。
お布施ポイントです。
「小牧野遺跡保護センター」の施設ですから、お布施は小牧野遺跡の保護に使用されます。
いくちゃんはとりあえず館内を見てからにしようと、迷った末にここではスルーしました。
そして、すぐ側にあったのがこれ。
入口右手のショーケースの中身は、近所の水路で発掘された3万年前の木だそうです。
日本の土壌は酸性ですから、木が残っているのはレアですね。
その上、低湿地とかで水に覆われていないと腐ってしまうのでした。
水路では空気中の酸素に接触しないので、微生物が生きられない=腐らなかったのですね。
……この説明が良いですね。
写真ではピンボケして読めませんが、右の方の壁に木の説明パネルが貼ってあります。
「今は絶滅したナウマンゾウやオオツノジカが、まだ日本に生きていた時代の木です」。
3万年前とか言われても、古すぎてピンとこないですよね。
小学生とかはなおさらですが、大人でもよくわからない人が殆どだと思います。
ちなみに縄文時代の始まりは、1万6千年くらい前です(「大平山元遺跡」の時代)。
小牧野遺跡は縄文時代後期なので、この木よりも、もっとずっとずーっと後で……大体4千年前です。
凄くない?
「ナウマンゾウやオオツノジカが、まだ日本に生きていた時代」と言われる方が、一言で何倍もピンとくると思うので、これを考えた人はもっと凄いと思います。
めちゃくちゃ賢いですし、見習いたい説明技術だと感銘を受けました。
そして、奥の壁にあるのは……。
この旧校舎が現役だった頃、当時の児童たちが作った遺跡周辺模型です……。
小牧野遺跡の立地がよくわかります。
二つの川に囲まれて山の斜面に位置するんですね。
さて、「縄文の学び舎・小牧野館」の良いところ。
地域の児童を始めとした住民たちが、遺跡に関わっている様子が感じられるところです。
そして展示にも、子どもたちを意識したわかりやすい工夫が詰まっています。
もちろんこれは、小牧野遺跡だけに限る話ではありません。
世界遺産『北海道・北東北の縄文遺跡群』には、全体的にその傾向を感じました。
それでも特に強く感じられた場所の一つが、ここ「小牧野遺跡」だったと思います。
現地の方に聞いた話では、小学生の見学などもかなりあるようで、子どもにも楽しくわかりやすい展示を心掛けているそう。
子ども向けだからつまらない、ではなく、子どもでもわかるから大人でも楽しい、ですね。
入って左手の発掘道具展示も良かった。
いくちゃんは一応()土木畑なので、通じるところもあったり……ちゃんと仕事頑張って学ぼうって思えますねw
雇われ仕事が世界遺産のより深い理解に繋がると、ここでまた証明されてしまったのだ……。
小牧野遺跡は環状列石の遺跡ですが、立地は山の斜面に位置します(木の写真の模型でもそうでした)。
斜面にそのまま石敷いたら、斜めになるじゃないですか? 当然ですね。
地面が斜めなんだもの……。
でも、それって雨とかでも流れるし、崩れやすくて見栄えも……まあ見栄えは好みかもしれませんけど……。
ちょっと悩ましかったわけですよ。
当時の縄文人たちにとって、ですね。
だから、真っ直ぐにする工事をしました。
それがわかるのが地層の剥ぎ取り断面なのです。
普通なら綺麗な層になっているはずの地層が、切れ切れに逆の順序で混ざっている感じ、らしい。
いくちゃんは素人なのでいまいち見分けがつかないんですが、イメージで言うと……。
……ハノイの塔?(違う気がする)
要するに、高い方の斜面を掘って低い方に運び、バランスを取って水平に均したんですね。
こんな感じ(雑w
オレンジが元々の斜面で、緑のハッチング部分が堀った場所です。
その土を、斜面下側の黄色のハッチング部分に運んで、盛ります。
新たに出来た地表が緑の線。
環状列石を置く水平な舞台になりましたね。
そして黄色のハッチング部分は、人造のあべこべな地層として残るわけです。
展示施設は盛りだくさん
……さて、この施設、結構広いです。
こんな調子で紹介していたら大変なことになるし、私も全部は写真撮っていません。
ただ、五感を通じた理解や、体験的な知識をとても重視した展示だったとは告げておきましょう。
一階には〝入れる〟土坑墓の複製モデルがあったり、フラスコ状土坑(貯蔵穴)にも断面から座ってみることができたり……。
現代人が実験的に石を運んでみた時の、「こんな感じじゃね?」的な復元道具の実物が展示されていたり。
全体を通して触れる複製物やモデルを使った説明が充実していたと感じました。
もちろん、パネル展示も良かったですし、実際の遺物もたくさん見られますよ。
小牧野遺跡でたくさん見つかっている、三角形土版も綺麗に並べられていました。
三角形土版は、名前の通り三角形の焼き物に模様を付けたもので、大きなものではないです。
大小差はあるんですが、ギターのピックを二回りくらい大きくしたような感じかな。
……でも写真は撮っていないね(汗)
結構厚みがあって、表面だけ角が滑らかなのでちょっとクッキーみたいな(ry
触って鉱物に親しむことができたり……。
色んな縄文を粘土に刻んでみたりできます。
ちなみに、これやると手がべたべたします(粘土なのでw)
……でも、縄文って何となく「縄で模様付けるんだねー」とかわかった気でいましたが、どんな縄目だとどんな模様になるかって、イメージできている人はどれほどいるでしょうか。
模様が化ける様子は刺激的で、ささやかでありながら面白い体験です。
もちろん、多くの施設に用意されている〝土器パズル〟でも遊べますよ。
土器の復元パズルですね(※複製品です)。
なんと第5展示室まであります(一部は二階)。
二階にも上がれるんですよ!
「二ツ森貝塚館」は入口からちょこっと入った程度しか公開されていなかったので、旧校舎めいっぱい使っているここは規模が違いますね……。
あぁ、なんだろう、この踊り場に並ぶ二つの窓……。
そこはかとなく郷愁が……。
そして木で出来た手すりの斜面部分、何やら半円柱型の積み木(?)が乗っけてありますね。
……邪推だろうか。
これって、小学生が滑り台的に遊ぶのを防止するためのシステムなんじゃ……。
いくちゃんは遊んだことありますよ、ええ(
あれって十人に数人はやったことあるよね?(知らないけど)
若気の至りです……。
手すりで滑り台は、普通に危ないと思います……。
だからと言って、大人が頭ごなしに「やめろ」と管理するのは、色んな面でマイナス効果を感じるし……そもそも、そんなこと言ってやめるのは少数だろうし(管理されればされるほど、反抗的(攻撃的)で陰湿に育つのが人間ですね)。
こうやって物理的に邪魔されれば、止めるまでもなく楽しく滑れないという……。
……邪推かもしれないけどww
的を射ていたとしたら、これ考えた人は頭良いよなあとか。
なお二階の廊下には、より時代を広げて弥生以降の話が展示してあったり、空間を広げて世界のストーンサークルや巨石文化の展示がされていたり。
昔の学校の教材とかもあったかな。
理科も社会も色々使いますよね。……人体模型とか。
ここだけ遺跡と直接関係なさそうですが、旧校舎という環境も活かしつつの展示でもあるのでしょうか。
向かいには旧野沢小学校の略歴年表も掲示してあった(はずな)ので、学校の歴史というコンセプトだと思います。
ちなみに、その年表の裏に、教育委員会事務局文化遺産課があった記憶。
興味深い展示の連続で、中々時間泥棒でした。
そして、休憩室もありましたよ。
木造校舎時代を再現した教室です(昭和30年らしい)。
……写真は撮っていたと思ったんですけど、ないですね……(困惑)
木製の机と椅子をお借りして、持ってきていたお弁当を食べました。
……一階の右手にはお土産ショップもありますね。
図録はもちろん、縄文関係の新書も二冊買いましたよ。
入館から三時間経っていたので、長居しすぎて驚かれました。
バスの時刻が……。
やばいそうです(←調べていなかった)。
ここからは走って遺跡に行きます!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
小牧野遺跡までは少し歩きますよ!
遺跡は……左ですね。
走ります。
なお、この辺りでいくちゃんは重要なことに気づきました。
――お布施忘れていた……(愕然)
……お土産色々買ったから良かったことにしようorz
というか、あれだけ充実した展示がある施設なら、他の構成資産よりだいぶ良さそうなんだけど……選べるならもっと大変そうな場所が良いな……(でもそういう場所に限って、お布施手段が……)
今度からお布施後回しはやめよう(戒め)
やがて見えてきたのが、「小牧野の森・どんぐりの家」です。
展示施設と休憩施設を兼ねているんですが、ここの展示は「縄文の学び舎・小牧野館」の重複ですね。
オープンはどちらも2015年の5月なので、特にどちらが先ということもないのでしょうが……。
たぶん、「縄文の学び舎・小牧野館」を見ずに遺跡だけ行っちゃう人に、さわりだけ凝縮して知ってもらおうって感じですね。
復習がてらさらっと見ても良いと思いますが、しっかり三時間過ごしたいくちゃんはだいたい満足しています。
トイレも特に求めていないし、雰囲気だけ確認したら再び走りますよ。
青々とした木々が綺麗ですね。
草花もたくさん咲いています。
この先も続きますよ。
野生のお花畑ではないですか。
これを左手に見ながら、真っ直ぐ駆け足で環状列石へ向かいます。
本当に木の葉が綺麗ですね、もしかしてこれが新緑ですか?
いくちゃん新緑って意識したことがなくて、いまいちどれがそれなのかわかっていないのですよ。
何やら妙なウサギがいました。
環状列石はすぐそこです……!
ほら!
環状列石へ到着
一人だけ職員さんが何やら作業していますね(右奥の方)。
確か刷毛のようなもので、環状列石の石を掃除しているように見えました。
右手に丘が見えますね、行ってみましょう。
この丘は〝見晴らし台〟と言うそうです。
全体像がよく見えますね。
小牧野遺跡の環状列石は、おおよそ三重の輪と中心の立石から出来上がっています。
写真中央の緑地との境目に立っている立石と、それを囲む小さな内輪(中央帯)、そして外側を囲む二重の輪っか(内帯と外帯)ですね。
とはいえ、よく見ると右側にちょっと突き出した区画があります。
小牧野遺跡の環状列石は、単に三重丸が描かれるだけではなく、不規則な形で別の環状列石と繋がっているようです。
メインの外周部分に近づくとこんな感じ。
これは内帯と外帯の部分ですね。
見ての通り、階段状になっています。
小牧野遺跡の環状列石は平地にわっかを作るのではなく、斜面の土を押さえるように配石したようです。
……ちょっとわかりにくいのですが。
どうも並んだ石を見ると、等間隔に綺麗に整列しているわけではなさそうです。
これは後世に偏ってしまったのでなく、最初からこのようになっているんですね。
一か所に固まって形を作っている石たちを、特殊組石と言うようです。
どこからが特殊組石なのか、正直素人には判別が難しいんですが……。
妙に円が盛り上がって見えたらそうだと思います。
全部で十三の特殊組石があるみたいです。
(もちろん、埋め戻されている分もあると思います)
その位置が、陸奥湾の中心だとか岩木山の方角だとか、何やら意味があるのではないかと言われているようですよ。
そしてこれが、小牧野式配列ですね。
先ほど「縄文の学び舎・小牧野館」のエントランスホールで、模型を並べて作っていた形です。
これが小牧野遺跡の環状列石に特徴的で、他の環状列石にもたまに見える〝小牧野式配列〟ですね。
うん、多分。
……これ、そうだよね?
正直特殊組石との見分けもつきにくく、何だかよくわかっていないいくちゃんです(目逸らし)
でもたまに綺麗に並んでいる石を見ると、ちょっとテンション上がります。
不揃いな自然石でありながら、上手く綺麗に組み合わされた美しさ。
小牧野式配列は、同じような大きさ・形の川原石を集めて、縦と横を規則的に組み合わせます。
横の石を90度傾けた川の字みたいにして、それを縦の石で挟むのですね。
上の方の写真をもう一度見てみましょう。
模式図ではぴちっと綺麗に並べていますが、もちろん自然石はこんなに画一的ではありません。
最初からとことん人工的な美しさも世の中にはありますが、この川原石っぽい色味や形も込みで、なんか良いなあと思ういくちゃんです。
ちなみに〝小牧野式配列〟は、同じく世界遺産『北海道・北東北の縄文遺跡群』より、「伊勢堂岱遺跡」(北秋田市)などでも見られますよ。
そしてこの石の採取場所が……。
ええ、おわかりでしょうか。
荒川です。
近くには荒川と入内川があるようですが、小牧野遺跡の石材は荒川産と見られているそうです。
ほら、さっき歩いて渡ったあの川ですよ!(多分)
川岸にゴロゴロと、手ごろそうな石が転がっていますね。
歩いたから距離感も何となくわかっています。
「あそこから運んできたのかあ」と、実感が持てるのは良いことです。
しかしこれを見てもわかるように、川岸の石は結構色んな形があります。
ここから環状列石に良さそうな、良い感じに細長くて良い感じに丸っこいのを選び、恐らく背負って持って行ったのですね。
遺跡の展望所からも荒川が見えるそうですが……。
……見える?
肉眼だと一応、川があるのはわかりました。
でもさすがに石がゴロゴロしているのは視認できない!(笑)
あんなに遠かったのかという感じです。
人間の足って、意外と結構遠くまで歩けるんですよね。
しかし石を運ぶとなると大変だと思う……。
他にも、環状列石以外の遺構もちゃんとありますよ。
こんなのとか……。
こんなのとか。
土坑墓の立体表示に近づいてみるとこんな感じ。
もちろんこの穴は露出展示ではなくて、現代人が保護のために覆ってしまったやつですね。
しかし大きさや位置はよくわかります。
これが立体表示のありがたさ。
さらに、縄文遺跡で重要なこれ。
捨て場跡もありました。
……時間が中々つらいので、あんまりじっくり見ることはできませんでしたが……ええ、文字通り駆け足です。
あっち見て、こっち見て、ここにあれがある、ここにはそれがある、と。
証拠写真撮れば思い出すこともできるし、とりあえず感触だけ把握して……。
バスの時刻までは……。
幸い少し余裕がありそうです。
さすがに疲れたので、展望所で休憩します……。
帰りのバスは野沢から14:48発
……もう少し遅い時刻に、大別内を出るバスもあるのですが。
もちろん大別内は30分歩いた先のバス停なので、着くまでに時間が掛かります。
野沢というバス停から大柳辺線に乗れるので、時間が近いならこちらがおすすめです。
この路線、行きは一日一本とかの癖に、帰りはちゃんとあるのですよ。
ありがたいですね((
このバス停の脇に、水路があります。
……どこかで聞きましたね、水路。
ええ、3万年前のアレです、十和田火山噴火で流れ出た木の死体です。
この水路で見つかったようですね。
水路のどの辺か、詳細はわかりませんが……。
野沢のバス停にはベンチ付きの小屋があるので、バスを待つには不自由しません。
お土産の展示図録でも見ながらのんびり待ちましょう。
運賃は480円です。
大別内から乗るより10円高いですが、誤差ですね。
これに乗れば、15:09には〝古川〟という大きなバス停まで戻れます。
大通り沿いなのに複数乗り場があるマジで大きなバス停なので、ここからどこにでも行けますよ。
せっかくなので、いくちゃんはとある施設を目指しました。
青森市森林博物館でフィナーレ
森林博物館です。
旧営林局庁舎を利用した施設で、ルネサンス式の木造庁舎は登録有形文化財にもなっています。
去年の4月に、林業遺産にもなったようです。
青森ヒバを中心として、森林の動植物や木材と人とのかかわりを展示しています。
大きな施設ではないですが、内容や展示はとても充実していました。
RPGの村でも歩いているかのような素朴なBGMが流れる部屋では、木々のぬくもりにあふれた室内で青森の自然について学べます。
最高です。
森林鉄道についての解説もありました。
これが林業遺産ですね。
「津軽森林鉄道遺構群と資料」という名で、そのリストに刻まれているようです。
……さらにさらに、二階は映画のロケ地にもなった会場。
『八甲田山』です、ご存じでしょうか。
新田次郎氏の『八甲田山死の彷徨』という小説を原作とした映画です。
そしてこの小説は、実際に200人以上の若者がほぼ全員亡くなった、陸軍の訓練による雪山遭難事件を元にしています。
……いくちゃんはまだ積んでいます(目逸らし)
この作品の背景や映画についても、ささやかながら充実した展示がありました。
実は青森市内には「八甲田山雪中行軍遭難資料館」というのもあって、いくちゃんは先月そちらにも行ったのですが……。
ぶっちゃけ、森林博物館の展示の方が良かったかな((
そりゃあもちろん、メインではないので分量では負けているんですが、ううーん……まあ簡潔に言うと、施設のスタンスと物理設計が合わなかった。
でも情報量はこっちより多いので、重ねて行っても得るものは色々ありますよ、もちろん。
館内はどこも少額とは言え有料なので、写真を載せるのはやめておきます。
いくちゃんは森林博物館を選びましたが、青森市の中心部には短い時間でも楽しめる施設はたくさんあります。
「縄文の学び舎・小牧野館」にさりげなく置いてあった、おまけ券付きの小冊子型パンフレットが探すのに役立ちますね。
ねぶたの家ワラッセでは、実際にお祭りで使われたねぶたたちの入賞作品を間近で見られるし……(ここでのハネト体験を通して、ねぶた祭に興味が湧きました)。
いくちゃんは行っていないけど、棟方志功美術館も有名ですね、版画や美術に興味がおありの方はぜひ。
青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸も良いですよ!
実際に運航されていた青函連絡船を改装した船上博物館で、往時の姿を忍べます……と言っても、いくちゃんみたいに就航時を知らない世代からしたら、いまいちイメージが湧きにくいので……写真集おすすめです♡
『青函連絡船の人びと』
これは実際に八甲田丸でお土産に買った本でしたが、往時の雰囲気がびしびし伝わってきます。
めちゃくちゃ良いやつです。
これを見て船の中を歩いたら、感激もひとしおに違いありません。
「津軽海峡・冬景色」の世界ですよ。
……なんで八甲田丸の外観の写真がないんだろう(遠い目)
ブログで使うつもりなかったからだな……。
ともあれ、小牧野遺跡はバスがどうしてもアレなので()、車でなければ一日遺跡で使うことは困難です。
終わった後も市内を回って楽しみましょう。
あ、三内丸山はだめですよ、一時間や二時間で回るにはちょっと広すぎるのでwww
場所的にもちょーっと離れているので、移動時間だけでそれなりに消耗しちゃいます。
あくまで市の中心部の色んな施設を、おまけ程度に見て回ると良いと思います。
青森市は色々と見るところあるのですよ。
それでは、次回は……次回って、どこだ?
多分、伊勢堂岱遺跡かな……?
間違っていたらごめんですが、少なくとも『北海道・北東北の縄文遺跡群』より、どこかの構成資産へ向かいます。
乞うご期待!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
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