ヒエログリフの解読方法とは

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古代エジプトのピラミッドや墓地群、砂漠に栄える数々の神殿群。

調べれば結構色々わかりますよね? エジプト神話にピラミッドの作り方、階級社会や壁画職人たちの組織……。

数千年前がこんなわかるのはね、言語が解読されたからさ!

古代エジプト語の解読がもたらした歴史界への衝撃は凄まじいのだよ。

今回はそんなエジプト語の代表的な文字、ヒエログリフの解読の方法を見ていきます!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

ヒエログリフとは

壁画の横のヒエログリフ。装飾ではなく文章ですのよ、これは左から読みます。右から読むこともありますが。書記の墓……だろうか……(悩み)

古代エジプトの主要な文字がヒエログリフです。

別名象形文字、または聖刻文字とか神聖文字。「ヒエログリフ」って言葉自体、「神聖な文字」って意味です。自分たちの文字を「神聖だ」なんて、エジプト人たちは随分ナルシスト――って、訳じゃなく。

ヒエログリフを名付けたのはギリシャ人なんですよね。

古代ギリシャ人たちがエジプトに入ってきたのは、紀元前4世紀とか。

エジプトで統一王朝が出来たのが、紀元前30世紀から31世紀くらいですね。ギザのピラミッドなんかは前26世紀頃です。

いつのものかすらわからないピラミッドを見て、「でっけえ! すっげえなあエジプト人!」とかなっていた訳です。

で、ギリシャ人たちは憧れのエジプトに支配者として君臨することになります。

その時名付けたんですね。

「なんかこの文字、神殿とかにいっぱい書いてあんねんけど! 多分神聖なんじゃね、たぶん!」

という訳で、そのまま「ヒエログリフ(神聖文字)」です。

もちろん支配者層のギリシャ人たちだって、全員全くヒエログリフわかんなかった訳じゃないと思うんですよ。少なくともあの人たち、基本はエジプト社会の構造を転用していますし。

でも第一印象とかあるじゃない? それに、あながちかけ離れたものでもなかったんですよね。

古代エジプト人たちはヒエログリフを何と呼んでいたのか。「神の言葉」です。

……大差ない気がしちゃいますね(笑)

そんな訳で、あんまり困らなかったんじゃないかな?

古代エジプト人たちは、ヒエログリフを神が作ったと考えました。ゆえにその文字で書かれたのは神の言葉なのです。

この神の言葉はピラミッドより更に昔、前2900年か2800年くらいには最初の形が大体確立しました。そして紀元後まで優に3000年くらい、ほとんどそのまま使われ続けるのです。

ヒエログリフの消滅

写真右上のあたりに注目。縦書きで絵のような文字が並んでいますね。鳥が右向いているので読むのも右からですよ!

このヒエログリフ、5世紀には死語になっていました。

死語っていうか、文字だけが使われなくなったんですね。エジプト語はエジプト語のまま、文字だけギリシャ文字になったんです。

最初にギリシャ人が入ってきてからも、数百年はヒエログリフは残っていました。しかしヒエログリフの主な舞台はエジプトの宗教です。

紀元前30年、ギリシャ人のクレオパトラがローマに負けました。エジプトはローマに支配されるようになっちゃったんです。間もなくキリスト教が公認され、国教となり……。

ヒエログリフを残す場所も……もはや、なくなってしまったの……で……。

いやぁ正直、大事に守っていたのも「神の言葉」だからだし? ぶっちゃけ書くのめんどいし、信仰が終わってしまえば守り続ける意味もなくね?

何ならキリスト教会では、積極的に別の文字を使いたいよね。だって土着のエジプト宗教って、「間違った古い宗教」な訳ですし? それを象徴する文字なんて使いたくないっしょ。

願い下げだよね、うはは(笑)

という訳で°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

元々ギリシャ文字って便利だったんですよ。ヒエログリフやエジプト語の他の文字では、母音を表記しないので……ギリシャ文字でルビ振ったりしたんですね。

ほら、一般的な言葉ならまだわかるんですけど……ネックなのは呪文よ。意味わかんない音の羅列を、母音なしで書かれても読めないでしょ。「abrktbr」って書かれて、いきなり「アブラカタブラ」って読めます? 読み間違えたら呪文の効力なくなっちゃうよ?

だからギリシャ文字を使いだしたんですね。

それが他でも使われるようになって、どんどんメジャー化していく訳ですね。そんな折にヒエログリフの意味までなくなっちゃったら……ねぇ? 消えるよね。

話し言葉のエジプト語は残っていたんですけど、こちらもやがてイスラームの流入と共にアラビア語に淘汰されちゃいました。

エジプト語はごく限定的に生き残るのみになりました。キリスト教会ですね。エジプトでは特別にコプト教会って言います。コプトって「エジプト」って意味ですね。

コプト教会で使うギリシャ文字のエジプト語、通称コプト語は教会の祈りの言葉とかです。

……日常言語はアラビア語です。祈りの言葉は一般人が会話で使うようなものではないですね。

エジプト語を話せる人なんて消えてしまいました。

ロゼッタストーンの文字

大英博物館にあるロゼッタストーン。こちらはギリシア語が刻まれた部分。めっちゃでかいです。割れてんのに1m越えですのよ。

時代は下って1799年、18世紀の末のこと。

使う人も読める人も消えていた、古代のヒエログリフを解読する手がかりが現れました。

ロゼッタ・ストーンです。

聞いたことありますかね? フランス人が昔の砦を修復して、イギリスとの戦争に使おうとしたんですよ。そしたら出てきた石の欠片。

欠片っつっても1m越えの分厚い石碑だけどな。

砦は「ロゼッタ」という場所にありました。ゆえに「ロゼッタ・ストーン」です。現地の言葉では「ラシード」って場所。ナイル川下流の西の方にあります。

ロゼッタはフランス語読みですね。ストーンは英語だけど。

で、これのおかげで晴れて解読できたんですよ。

実はロゼッタ・ストーンにはパッと見でまるで違う、3つの言語が書かれていました。

ヒエログリフとデモティック(民衆文字)、そしてギリシャ文字の3つです。デモティックもエジプト語の文字の一種で、これも未解読でした。

発見者の一群の中に、ギリシャ語の碑文を読める人がいたそうです。

「これ超重要だから、3種類の文字で書いて建てるね!」

――って書いてありました。

あ、3種類ね……うん確かに3種類――えっ?

なんてこと!

3種類の「対訳」石碑っ!

照らし合わせたら、ヒエログリフ読めんじゃね!? ついでにデモティック(民衆文字)も読めんじゃね!!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

この石の重要性は即座に認識され、写しが取られてカイロに輸送されました。

そしてフランスは負け、石はイギリスに取られました。

ゆえに現在、ロンドンの大英博物館にありますが……既に写しはたくさん出回っていたため、イギリスとフランスの双方で盛んに研究されることとなります。

ヒエログリフ解読の方法

アブ・シンベルの壁画。ヒエログリフはどこにあるかな? 上? 真ん中? だけではなく、実は絵の一部で手に持っていたりも……!

さあ対訳資料が手に入ったぞ! あとは照らし合わせれば簡単だ!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

……と、多くの人が張り切ったことでしょう……(遠い目)

解読に大きな貢献をしたと言われる天才が二人います。イギリスの物理学者トマス・ヤングと、フランスのジャン=フランソワ・シャンポリオンです。

最終的に解読したのはシャンポリオンと言われます。1822年のことです。

ロゼッタ・ストーン発見から23年が経っていました。

まずはヤング氏、二つの重要なポイントに気付く。

「ヒエログリフは表音文字」であり、「楕円で囲まれているのは王名」である。

かなりの時間がかかりましたが、この推測は的を射ていました。

次にシャンポリオン氏が追い上げます。

別の場所で新しく見つかったオベリスク(角柱型の石碑)の「クレオパトラ」も参考にし、王名から次々に文字の音価を特定!

つまり、アルファベットで言えば「a」が「あ」と読む、みたいなのを見つけていったんですね。ヤング氏は結構間違っちゃっていたんですよ。

具体的には「プトレマイオス」と「クレオパトラ」って、同じ文字が被っているんですね。英語で言うと「p」とか「l」とか。

実際のヒエログリフの並びで言うと、「ptolemis」と「qleopadra」。

「□」みたいな見た目の「p」と、ライオンみたいな見た目の「l」です。

つよい! ここまでわかればパズルでかなり推測できます……!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

そしてそしてこのシャンポリオン氏、強力なコプト語研究者だったのです!

コプト語はギリシャ文字を使ったエジプト語。1500年も経てば語彙や文法も変わるでしょうが、そうは言っても元は同じ言語だもの! かなり似ているはず!

シャンポリオン氏はまずギリシャ語碑文をコプト語に訳し、それをヒエログリフやデモティックと照らし合わせたそうです。

王名のおかげで一部文字は読み方もわかるでしょ、ニッチな「コプト語」知識も強力でしょ。

彼は次々解読していきました。

その結果が世に出たのが1822年、ロゼッタ・ストーン発掘の23年後です。

シャンポリオン氏はロゼッタ・ストーンの本物は、ついぞ目にすることはなかったそうです。

ずっと写しだけで研究したんですって。

まとめ

エジプトの外にもヒエログリフ。これはイタリア……! フランス遠征隊以降、エジプトの遺物も知識もヨーロッパ世間を賑わわせました!

ヒエログリフの解読は、「ロゼッタ・ストーン」のおかげとよく言われます。

3言語対訳は強いですね! またロゼッタから遠く南で見つかったオベリスクも、解読に携わった語学の天才たちも……。

シャンポリオン氏が天才だとしても、コプト語を知らなければどうなったことやら。

古代エジプト人たちの「王名を囲む」習慣がなければ……何倍も難航したに違いありません。

しかし王名から音を特定し、コプト語を架け橋に解読できたのです!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

解読された結果、エジプト学は大幅に進歩!

今の我々も古代エジプトの多くを知ることができるようになりました!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

語学好きのいくちゃんは、天才二人にあやかりたいです。がんばります。とりあえずヒエログリフの次はアッカド語かアラビア語か……。

目下悩み中(アッカド語=古代メソポタミアの共通語)

  

[主な参考文献]
松本弥『ヒエログリフを書いてみよう読んでみよう 古代エジプト文字への招待』2000年
近藤二郎『ヒエログリフを愉しむ 古代エジプト聖刻文字の世界』2004年

などなど!

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