いくちゃん)「明日は入江高砂行くんですよー」
北黄金貝塚の職員さん)「あ、そうなんですねっ、あそこもリニューアルしたばかりで良いですよ!」(意訳)
いくちゃん)「へええぇ、そうなんですねー!」
てなわけで、5月4日は「入江貝塚」「高砂貝塚」編です。
両方いっぺんに回ってしまいましょう。
「入江高砂貝塚館」へはバス+徒歩で
バスで行けば、残りは徒歩約10分。
最寄りのバス停は「虻田高校前」です。
「洞爺湖温泉バスターミナル」から一本で向かえるので、今回はこれで山を降っていきます。
……来た時のバス路線と同じです。
でもね、歩いて行くのも良いんですよ!
洞爺湖の裏手から、有珠山噴火遺構の散策路(金毘羅散策路+西山散策路)を通っていくと、一つ手前の「給食センター前」近くに出ます。
若干距離はありますが、こっちも見学するならバスに乗らず歩いちゃうとお得です。
グラードンに会えます(※ポケットモンスタールビーで火山に登場する伝説のポケモン)。
私はグラードンだと確信しています。
だって専門用語でグラーベンって言うんですよこれ、階段状の噴火遺構。
(グラーベン(Graben)自体は「地溝」って意味のドイツ語)
西山火口散策路の遺構は、2000年の有珠山噴火で出来上がりました。
ポケモンルビーの発売は2002年の11月21日だそうです。
絶対グラードンだよね。
より正確に言うと、グラードンの背中だよね。
ポケモンってこういう現実世界大好きなとこが良いんだよね……最近は知らないけど。
と、それはともかく。
私は次の日に歩きました。
(めっちゃ良かった)
……いやー、疲れちゃってね?
前日に洞爺湖町に来るために、登別から北黄金貝塚通ってきました。
無理して洞爺湖の湖上花火まで見に行っちゃったから、もう疲れが……ひどくて……。
朝は10時頃まで宿に引きこもっていましたw
あと根本的な問題として、散策路を聞き知ったのもこの日の夜です(笑)
でもまあ、外に出れば良い天気。
とりあえず目的の貝塚だけはちゃんと行こうと、気力を振り絞って動きます……ええ、いくら楽しくても疲れるものは疲れるのですw
ほら、いくちゃんって、一つの体験から受け取る情報量が多いから……?(笑)
この日の洞爺湖町は春真っ盛りです。
バス停を降りて住宅街を歩く間も、たくさんの春の花に出会います。
実は登別でもそうでしたが、北海道の山地で緯度も高度もそれなりだからか、桜もしっかり咲いていました。
北海道のGWは桜の季節なんですね……知らなかった。
こんな道なら歩いていて飽きません。
時には綿毛になっている花もあり、移ろいゆく季節を感じます。
春めいた心地良い天気だからか、庭に出ている人たちもいました。
……たしか、アウトドアなテーブルとかで歓談している人たちを見かけたのも、この日だった気がします(記憶が遠い(笑))
「入江高砂貝塚館」に到着
道に迷うことはありませんでした。
何故ならGWのおかげか、多くの人たちがパンフレットを持って歩いていたから……というのは冗談として……。
――割と本気だったか?
いくちゃんはびっくりするくらい、方角間違えて歩くのが得意です。
見学者たちを参考にしていたのは確かなので、なかったら間違えていたかもしれません((
とはいえ、難しい道ってわけじゃないですよ!
リニューアル直後というだけあって、中々明るい雰囲気ですね。
こう、白と木(ベージュ)の組み合わせっていうのが、いかにも「新しいなあ」って感じ。
スペースも広々と取ってあります。
そして、本棚に展示されている書籍類にはなんと、発掘調査報告書まであった……気がする。
き、記憶が危ういですが、あったと思います、多分!
時間と体力に余裕があれば、ここでゆっくり資料に目を通すのも、中々充実しそうです。
とはいえ、この日のいくちゃんは……。
――まあ、へろへろだったので、諦めて中身はスルーします。
やっぱり余裕って大事よねw
廊下にも掲示物があります。
なお、入江高砂貝塚館は入館無料!
ポスターやジオラマの横を通り、壁にパネル展示されている広い空間から、展示スペースへ入ります。
……全然、写真撮っていませんでした(涙)
なんかね、元々私って、ぱしゃぱしゃ写真撮りまくるタイプじゃないので……目の前と頭の中に集中してしまって、気づいたら少ないのよね((
撮っている写真というと……。
これくらい?
空間は天井が高く、広々としてとてもお洒落。
でも正直、展示の中身はいまいち印象が薄い。
国史跡「入江・高砂貝塚」
というのも、これは仕方ない部分もあるかと思うのですが……。
「入江貝塚」と「高砂貝塚」は時代が違います。
世界遺産としては、「入江貝塚」は縄文後期で、「高砂貝塚」は縄文晩期に振り分けていますね。
ズレているのは確かのようで、見つかる遺物も当然違います。
(実際はどちらももう少し長く栄えているようですが)
しかし、まとめて国史跡「入江・高砂貝塚」になってしまっているのです。
「入江高砂貝塚館」は、〝国史跡「入江・高砂貝塚」〟の展示館。
結果、入江貝塚と高砂貝塚、どちらの遺物かわかりにくい展示がしばしばあります。
『北海道・北東北の縄文遺跡群』を世界遺産に推す際にも、最初は「入江・高砂貝塚」で構成資産にしようとしていたくらい。
でもやっぱり「この二つ違うよね」ってことで、2017年になってから、「入江貝塚」と「高砂貝塚」に分離して再構成されました。
2017年と言うと、「鷲ノ木遺跡」と「長七谷地貝塚」が〝関連資産〟になった年でもあります。
構成資産総整理、ってわけです。
そんなわけで、世界遺産としても分離したのはごく最近、国史跡としては今でも二つで一つの遺跡。
「入江高砂貝塚館」がリニューアルしたのは2021年ですが、それでもやっぱり、「入江貝塚館」と「高砂貝塚館」ではない。
一つの史跡の展示館なのです。
……それならそれで、どこの史料なのかもうちょい明記してくれてもいーのにぃ……ってのが、いくちゃんの素直な感想ですが(笑)
貝塚の剥ぎ取り標本ですら、「入江」か「高砂」か書いていない!
年代表記だけはあるので、解説と見比べて自力で推理しなければなりません! なんてこった!(泣)
おかげで「これはどっちの遺物だ? これはどこの話をしているのだ?」ばかりが気になってしまい、展示の内容が頭に入ってこなかった……でも、居心地は良かったです。
とてもお洒落で広々とした空間でした。
ええ、とにかくそれが一番の印象でした(笑)
時間があれば、書籍資料閲覧で時間使うのも大いにありだった気がする。
〝介護されて生き続けた〟人骨
展示で一番印象に残ったのは、展示室最後のトリを飾るメインどころです。
こちらは「入江貝塚」でした。
小児麻痺または筋ジストロフィーなどで寝たきりになり、それでも〝介護されて生き続けた〟と思われる成人男性の人骨です。
写真はありません……(汗)
手足の骨だけ異様に細く、胴体とアンバランスな見た目をしています。
寝たきりで手足を使わず生き続けたために、矮小化したと考えられるのですね。
縄文時代は〝原始的〟で〝野蛮な〟〝非文化的〟時代――なんてそろそろ時代遅れかもしれませんが、そこまで行かずとも未開のイメージは残るようです。
しかしこの人骨は、生産性が低い――言ってしまえば〝穀潰し〟の人がいても、見放さずに世話をしていた社会性の証左になります。
働かざるもの食うべからずとか、弱肉強食とか、むしろ縄文的ではない考え方かもしれません。
もちろんたった一体の人骨が、縄文全てを語るわけではありませんが。
……いくちゃん自身は、その社会性が意外だったわけではないです。
縄文人に、血縁者を見捨てるようなイメージないし。
むしろ結束の強い少数集団で、食生活的にも逼迫していなかったので、感情的な個々の繋がりも大きい気がしていました。
加えて、移動に追われることもない定住性です。
ただそれがわかる人骨が見つかった、という事実にちょっと興奮した。すごい。
そこまでわかるんだ……なるほどそうやってわかるのか、と。
考古学って凄い。
なお、隣には「高砂貝塚」の妊婦の人骨もあります。
日本の土壌は酸性で、多くの骨は溶けて残りにくい事情があります。
これらの人骨は、全国的にもとてつもなく価値があるのです。
そんな人骨が貝塚から見つかったのは、貝殻のカルシウムが骨を強化するため。
全国的にも、人骨発見地には貝塚が多くあります。
貝塚以外のお墓って、大抵の場合、墓穴とか副葬品で類推しているに過ぎないのですよ。
ちなみに余談ですが、どっちの貝塚かぱっと見わかんない剥ぎ取り断面は、この人骨たちの向かい側の壁にありました(笑)
人骨たちにも、どこ発掘か表記がなかった気がする……(むしろ書籍でよく見るので知っている)。
展示室の外にもちまちまと見どころが
メインは展示室内で完結しています。
しかし最初に見かけた学習資料室も含め、何気に色々見どころが用意されているのです。
例えば、縄文時代のその後。
これは階段へいざなうように、壁面展示されていました。
実は「入江貝塚」や「高砂貝塚」――特に高砂かな、現地で見ても、縄文より後の遺構も含んでいるのですよ。
もちろん世界遺産になったのは、縄文的要素による評価ゆえですが。
続縄文時代に鉄器が流入し、擦文時代には土器の形式が変わり……と、時代の変遷をさらっと知ることができます。
めちゃくちゃ詳しいわけじゃないですが、そもそも北海道の時代区分に馴染みがない人が大半だと思うので、なるほどと納得できるんじゃないでしょうか。
流行りの(?)アイヌまでの流れがわかりますよ!
続縄文については、コラムの方で記事を書きましたね。
それらの展示にいざなわれていった二階に、しれっと展示が残っていました。
ひっそりした学校の資料室っぽい(?)空気が好きでした。
なんだろ……なんか良いの……((
見てほら、この密集した土器たち。
お洒落な展示室も良いですが、こういうのに安心感を覚えますね。
展示室が嫌なわけじゃないんですけどね、うん。
むしろあっちも居心地は良かったんだけど。
ぽかぽか陽気な「高砂貝塚公園」へ
さて、「入江高砂貝塚館」を出ると、道に向かって左手へ進みます。
突き当りにあるのが「高砂貝塚」です。
世界遺産『北海道・北東北の縄文遺跡群』としては、縄文晩期メインの構成資産に当たります。
貝塚としては、唯一の晩期ですね。
貝塚の構成資産は、基本は縄文前期が多いです。
「田小屋野貝塚」、「二ツ森貝塚」、「北黄金貝塚」……全部前期がメインですね。
関連資産の「長七谷地貝塚」は、珍しく早期メインの貝塚になります。
その中にあって「高砂貝塚」は最も後ですが、中期や後期の遺構もあります。
写真の空は薄雲が覆っているようにも見えますが、めっちゃぽかぽかで良い感じでした……。
こんなに気持ち良いと、ちょっと休憩したくなりますね。
だっていくちゃん、この日、疲れていて……。
なんだか、眠く……。
ふぅ……ベンチがあるよー……。
……ベンチの写真は撮っていませんが、遊歩道の途中にもしばしば設置されています。
これは本当に良い感じの公園ですね。
ちょっとだけお昼寝しました。うん。
人いなかったし……。
ごめんね((
そして、高砂貝塚には水の流れる場所もありますよ。
湿地ですね!
上の地図で見ると、水色で示されている部分。
これは西向きの写真です。
こうやって見ると、湿地って明らかに植生が違うんですね。
最近色んな場所で林とか見かけるけど、下草で覆われている中に、そこだけ一本筋に違う生き物生えているような場所、結構あります。
水の気配ですね。
多分草刈りしたら、そこだけ地面がぐちゅぐちゅだったりするんですよ。
たぶん。
こういうの見ると、元気になる……。
でも新しい場所が刺激的なのには変わりなく、それなりに疲れるのは仕方がない(笑)
これは……ぐちゅぐちゅするやつですね!(笑)
橋がちゃんと用意されていました。
貝塚撮らないで湿地の写真ばっか撮っているわ私ww
道を戻って「入江貝塚」へ
「高砂貝塚公園」から、入江高砂貝塚館方面に戻ります。
そのまま超えて真っ直ぐ行くと、今度の突き当りは……「入江・高砂貝塚公園」って、Googleマップでは出てきますね!
てことは、「入江貝塚公園」はないのだろうか?
よくわからないので、「入江貝塚」に到着、ってことにしておこう。
そして写真がない。
格差が酷いww
「入江貝塚」は、『北海道・北東北の縄文遺跡群』では、縄文後期に振り分けられています。
後期と言うと、環状列石が目立つ時期ですね。
人口が減って集落が分散し、複数の集落で共同の祭祀場や墓地を利用した時代です。
ここで、介護されて生きた先人の遺骨も出ました。
住居跡もあって復元されていたり、何よりここの魅力は……貝層の露出展示です!
剥ぎ取り断面じゃありません。
ほんものの貝塚横がトンネルになっていて、歩いて断面を観察できます。
展示もちゃんとあるんですよ。
……写真はないけどw
洞爺湖町での一日
さてその後、郷土資料館はついでですね。
縄文関係の展示は入江高砂貝塚館に吸われて(?)いるので、もっと後の時代の……例えば昭和の道具とかの展示がありました。
無人でさらっと見られるので、ゆっくり落ち着くのに良いポイントかもしれません。
確か閲覧用書籍とかもあったはず。
ただでさえ長旅でもありましたが、二日連続の貝塚はちょっと疲れたw
一日で2遺跡ってだけで、どうしても意識が拡散してしまうのも感じました。
とはいえ仕方ない。
ここはそういう遺跡です。
なにせ、国史跡「入江・高砂貝塚」ですからね。
これで今回の旅において、貝塚関係の遺跡は終わりです。
なんだか貝塚ばかり見ている気がします。
次回はもう少し別の遺跡に行きますよ!
北海道函館市まで下って、「垣ノ島遺跡」と「大船遺跡」。
これで今回の旅は最後の予定です。
ゆっくり休んで、次の日以降に備え……。
……えーと。
憧れのスワンボートに一人で乗ったり、ゲストハウスのみんなで花火大会を岸から見たりしましたが……。
あ、あと湖畔に出入り自由のホテル付属図書館がありまして、そこが絵本や写真集充実していて中々居心地も良く魅力的な……。
それでも私は休みましたよ、ええw
ぶっちゃけ花火は、湖畔の方が迫力はありました。
レトロな船の雰囲気が良ければ乗船を、純粋に花火だけ見たいなら湖畔を選択すれば良いかな。
湖畔で花火を見る時は、ライトアップされた船を目印にしましょう。
船が動いたら花火も動く。
ゲストハウスでお喋りを楽しんだので、良い感じに数日分の情報をアウトプットできた気がします(笑)
人数いるのにたくさん話してしまうと、申し訳なくてつらいんですが……。
楽しんでくれている人もいる一方で、話題かっさらわれて微妙な気持ちになっている人もいそうだし。
それでも話さずにいられなかったorz
もちろん全部は話せなかったけど、誰にも話さず頭に詰め込んだ状態と比べて、すっごく楽になった気がします。
アウトプットは大事です。
ありがとうございます皆さま。
そしてゲストハウスだけでなく、このブログもこれから先、いくちゃんの貴重なアウトプット先の一つであり続けるでしょう(笑)
この先も、楽しくお喋りしながら旅を重ねたいな。
嬉しい情報も色々教えていただけたし。
噴火遺構の散策路は、ここで教えていただいたのでした。
火山博物館もぶっちゃけ最高でした。
本当はもっと色々書きたいことあるんですが、ここでは世界遺産のお話をということで(笑)
ひとまず次回は、函館市へ!
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