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恐竜絶滅の原因に迫る! 隕石衝突説で本当に決定なのか?

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恐竜の絶滅は巨大隕石がもたらした!

こんな言説も今ではすっかりメジャーになりました。

でも、天邪鬼な――もとい、クリティカルシンキングが得意な慎重派の方は、まるっきり信用して良いものか悩むかもしれません。

他の説もあるんじゃないの?
そっちはどうなったの?

隕石なんて、作り話かよ――?

そんな疑問をいくちゃんも持っていました。
可能性は複数考慮しなくては。

てなわけで、恐竜絶滅の原因に迫ります。
最後にはいつものごとく、関連世界遺産の紹介もありますよ!

……まあ、直接〝恐竜絶滅の原因になった世界遺産〟なんてのは、ありませんが!w

大量絶滅の学説が受け入れられるまで

最初は、大量絶滅の概念すらありませんでした。

現在こそが過去の鍵であり、現在に起こっていないことは過去にも起こらない。
だから大量絶滅なんて存在しなかった(斉一説(1785年)による)。

どの種も競争による自然淘汰にやられて、そのうち個別にいなくなった、というわけです。
同時期に大量に絶滅するなんて、あり得ない、と。

……なんか、正常バイアスっぽいですね。

この考えがなんと、1980年代まで地質学の基礎となっていたのです。

そんな中、恐竜絶滅の原因も様々な――学説とも言い難い、憶測とも呼ぶべき論で語られ始めます。

巨大化しすぎて退化したとか(1910年)、
哺乳類に卵を食べられて少子化に襲われたとか(1925年)、
脳が縮小して愚鈍になったせいとか(1939年)、
イモムシに植物を食い潰されて飢えたとか(1962年)。

宇宙線や紫外線の照射(1928年)や、太陽フレアのせい(1954年)など、
原因は宇宙にあるという推測もされたようです。

でも研究が進むにつれ、少なくとも5回の大量絶滅が否定しがたくなっていきます。

やがて1980年――まだ斉一説が基本の時代ですが、白亜紀末の隕石衝突仮説が唱えられます。
原子核物理学者と地質学者の親子による、極めて科学的な計算モデルで有名になりました。

――実はたった2週間前に、古生物学者たちが先んじて類似の仮説を発表していたようです。
しかし専門の人たちだからこそ、論展開が複雑化したのでしょう。

インパクトに欠ける発言は、スルーされやすいのです。
結局、直後の断定的な発表が、複数の研究分野を跨いで世を騒がせたのでした。

支配的だった斉一説も、ここまで来ると疑わざるを得ません。
「大量絶滅(笑)」とか、「天変地異(笑)」とか言っていられないです。

発表の時点ではあくまで仮説。
しかしその後、続々と隕石堆積物やクレーターが見つかっていきます。

非常に刺激的です。
白亜紀末の恐竜絶滅の原因については、もはや疑う余地もないでしょう。

……とは言いますが、実は他の説も全く見当はずれというわけではないのです。

隕石衝突自体はあったのでしょう。
天変地異による大量絶滅も、今ではみんなが認めています(例外はあれど、専門家であれば)。

しかし、そもそも絶滅の原因が一つとは限らず、複合的な影響も考えられます。

そこで、大量絶滅あるあるを、順次紐解いていきましょう。
まずは海洋無酸素事変(Oceanic Anoxic Event)です。

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繰り返される海洋無酸素事変

海洋無酸素事変と言われても、隕石などと比べてピンときにくいかもしれません。
でもこれ、白亜紀に何度も繰り返されたんですよ。

……ええ、何度もあったくらいですから、最後に恐竜が絶滅した時の原因とは言い難いんですが。
まあ大前提として聞いてください。

字面で何となく「海に酸素が足りないの?」とまではわかっても、ぶっちゃけ目に見えるイベントではないですよね。
でもこれはひどいですよ、まさに世紀末(?)のディストピア。

例えば、最初に述べた5つの大量絶滅イベントのうち、最も大きいと言われるのがペルム紀末です。

古生代の終わりです。
2番目に大きいと言われるオルドビス紀末の、2倍の規模の絶滅だったという話もある絶望的な絶滅イベントです。

ここでも大きな原因の一つと言われているのが、海洋無酸素事変です。
他のいくつかの大量絶滅でも、原因の一説に挙げられています。

きっかけは基本的に、温暖化と言われます。

そもそも海底の酸素って、どうやって補充されていると思いますか?

海藻が頑張って光合成しているのでしょうか?
でも海の底に行けば行くほど、届く光は減りますよね?

海藻のほとんどいないような海の底でも、たくさんの生き物が酸素を必要としていますよね。

そこで、水面付近で補充された酸素を海底へと運んでくれるのが、水温差による海水の対流です。
冷たい水が自重で落ちていき、温かい水が代わりに上がってくる。
これにより海水は攪拌されるのです、が……。

温暖化が著しくなると、冷たい水が水面付近から減少します。
代わりに熱い水が上に溜まっていき、対流が滞ってしまう……!

結果、極端に酸素の少ない水塊が生まれてしまい、大量の生物の窒息を引き起こすのです。

そして、何を隠そう白亜紀というのは、圧倒的に温暖で海面が高かった時代でした。
だからこそ海洋無酸素事変は、何度も何度も起こりました。
その度に多くの海生生物が絶滅し、中規模の絶滅イベントが引き起こされ、ことあるごとに生態系に大打撃を与えていたのです。

恐竜が生きていたのは、こんな時代でした。
すごく暑そうですよね、海とかめっちゃ高すぎて、北米大陸も真っ二つになっていましたよ。

絶滅イベントは一度だけではなかったのです。

しかし、白亜紀の終わりには寒冷化へとシフトしていたと言います。
海洋無酸素事変のようなイベントが、恐竜の絶滅と直接関係したとは考えづらいですね。

では逆に、寒冷化が原因になったという説はどうでしょうか?

何と言っても、めっちゃ暑い環境で生きていた恐竜たちですからね。
寒くなったら凍え死にそうですよね。

温暖な白亜紀を一変させた寒冷化

気候変動は、絶滅イベントの原因としてあるあるの説です。
実は、隕石衝突の3000万年前には、地球は寒冷化を始めていたそうですよ。

温暖化で海洋無酸素事変が起こっても大変ですが、寒冷化で代謝が落ちたり凍死したりも大変なことです。
恐竜の場合は、タイミング的にもこちらの方がありそうですね。

いくちゃんの幼稚園時代に見ていた恐竜図鑑でも、凍死して体に雪の積もった恐竜たちが描かれているイラストがありました。
懐かしいです。

ちなみに、いくちゃんは1994年生まれです。

で、実際長期的な寒冷化は間違いないようです。
そうなると、海水準が下がり海退現象が起きるため、まず浅瀬の生き物が死んでしまいます。
水面が減れば、陸上の乾燥化にも繋がります。

しかし、恐竜の視点ではどうなのでしょうか?

恐竜——竜というものは、爬虫類に似た生き物として描かれることが多いです。

爬虫類ということは、変温動物ですかね!
トカゲやヘビが冬眠することはよく知られています。

ということは、寒冷化の影響をもろに受けそうですね。

でも待ってください、大事な事実が一つあります。
実のところ、恐竜は爬虫類ではなく恐竜類なのです。

恐竜の中でも獣脚類と言われる分類群は、のちの鳥類の祖先でもあります。
鳥類は恒温動物です。本当に恐竜は、変温動物だったのでしょうか?

この問題に確実な結論は出ていません。
ただ、温暖な白亜紀で発展した種族ですから、寒いのが苦手でもおかしくはないでしょう。

恐竜はそもそも隕石より前に減り始めていた、という説もあります。
実のところ研究者によって、見事に意見は分かれているようです。

ある人曰く、恐竜はちょっとずつ多様性が減少しているのが認められる。
よって大量絶滅なんてなかったのだ。

また曰く、恐竜の絶滅は急激だった。
よって、隕石衝突などの突発的な原因で絶滅したのだ。

……いずれにしても、〝寒冷化により一斉に絶滅〟という説は考えにくいように思われます。

寒冷化を原因と考える場合は、あくまで漸進的な多様性の減少。
そこに隕石衝突がとどめを刺したと考えるのが、自然な見解に落ち着きそうです。

しかし、これとはまた違った気候変動の説も知られていますね。
インドのデカントラップによる溶岩噴出です。

そう、大規模な玄武岩流の噴火も発生しているのです。

……だいぶやばいですね、白亜紀末。
まあでも、一日二日で全部が連発したってわけではないのですが。

デカン高原の噴火説

場所はインドのデカン高原でした――なんて言うと、大いに誤解があります。

だって白亜紀末の当時、インドどころかデカン高原もないですし!
と言うより、この噴火がデカン高原を作ったらしいですよ。

この説の登場は1982年、隕石衝突仮説の2年後でした。

まだまだ、隕石衝突仮設の証拠探しの渦中にあった時代です。

今のインド亜大陸は、太平洋を北上中。
白亜紀が終わってから大陸が衝突し、ヒマラヤ山脈が生まれることになります。

しかし、移動しながらもこの地では、何度も何度も噴火が起こりました。

その証拠に、大規模な噴火の痕跡があります。
噴火の跡に普通の陸が重なり、また噴火の跡……と、まるでミルフィーユのよう。

断続的に、交互に地層が重なっているのです。

噴火の地層と地層の間には、恐竜の骨や卵殻など、生活の痕跡が挟まれています。
だから恐竜はここで生きていたし、噴火があれば影響を受けたはずですよ。

環境が回復しては崩壊し、蘇っては焼き尽くされ――と、中々に過酷な時代だったことがわかります。
その中で徐々に恐竜が衰退し、やがて絶滅する様子が読み取れるとか!

大規模な噴火が起きれば、溶岩や火砕流はもちろん、天候の変化も起こります。

噴出した硫黄が酸性雨をもたらしたり、二酸化炭素が気温を上昇させたり……。
逆に火山灰が天を覆うことで、寒冷化もあり得ます。

もちろん、ガラス質の火山灰が土地を瘦せさせて、動植物の生活圏を奪うこともあります。
飛来した火山弾が、そこかしこで山火事を起こすこともあります。

噴火が大規模であるほどに、天変地異は深刻になるはずです。

この記事をお読みの読者様には、日本に住んでいる方が多いかと思いますが……。
特に火山が身近な一部地域にお住まいであれば、噴火災害の悲惨さもご存じでしょう。

今のデカン高原は、Wikipediaによると190万k㎡だそうです。

そんだけ溶岩が流れたんですよ!
噴火の規模がやばすぎます。

ちなみに、デカン高原を作ったこの場所をデカントラップと言います。
火山と言うと山になってしまうので、噴火ポイントは地名と併せて「○○トラップ」と称するみたいですよ。

実は、ペルム紀末の史上最大の大量絶滅でも、シベリアの玄武岩噴出が原因とする説もあります。
火山噴火も充分に、大量絶滅の原因となりうるのです。

あと、三畳紀に恐竜が爆発的に増えたきっかけも、北米の噴火で起きたカーニアン多雨現象がきっかけとする説があるようです。

当時の生態系で50%を占めた〝リンコサウルス類〟が、噴火のせいで絶滅したのです。
その隙間に入り込んだ恐竜が、瞬く間に増えて世界の覇権を握ったのでした。

このように、噴火が生態系に及ぼす影響は無視できません。

なお、デカントラップの噴火は隕石飛来の50万年前に起こり始めたそう。
地質学の感覚だと、目と鼻の先のタイムラグに見えますね。

ちなみに、今から50万年前だと、北京原人が出てくるくらいです。
その頃から噴火しまくっているキルゾーンがあるイメージかな。

やばい。

(この時代を含む更新世については、ちょっと前に記事を上げましたね)

ということは、先の寒冷化の説と同じく、徐々に生態系に影響を与えていたところに、隕石がとどめを刺したと考えることもできます。
または、むしろ絶滅してから隕石が飛来したのであって、絶滅と隕石は関係ない、と考える余地もありますね。

ただ、待ってください。
〝天変地異〟でひとくくりにして悪者にするのは、まだ早いかもしれません。

寒冷化で大きなダメージが考えられたはずですよね。
よって、噴火で温室効果ガスが放たれてむしろ温暖になり、地域的に寒冷化の影響を和らげたという説もあるようです。

砂漠の中のオアシスのようなものでしょうか。

デカントラップによる恐竜絶滅の説は、特にインドの白亜系(=白亜紀の地層)を研究する研究者が重視しています。

しかし、それぞれの影響は未知数です。
隕石衝突に寒冷化など、複数の天変地異がほぼ同時期に起こっていたことを思えば、個別ではなく関連した影響も考えるべきでしょう。

でもこの噴火は、他の災害の影響を中和したのか、それともより凄惨な災害へと変えてしまったのか?

まだまだわからないことばかり。
それでも、たった一人の犯人を決める段階は過ぎ去り、相互の影響状況へと議論は発展しつつあるようです。

歴史を変えた隕石衝突仮説

さて、色々な説を紹介しましたが、そうは言っても隕石説が今では主流です。

では、この隕石衝突による大量絶滅の仮説は、どのように受け入れられていったのでしょうか。

先にも述べた通り、世に知られたのは科学者親子による発表でした。

ノーベル賞も受賞した物理学者のルイス・アルヴァレスと、その息子で地質学者のウォルター・アルヴァレスによる論文です。

怪しい都市伝説じみた説も横行する中、〝仮説を立てて検証する〟という科学の在り方を世に問うた出来事でもありました。
そのインパクトから、科学業界そのものに多大な影響をもたらしたのです。

具体的な論文の内容は、各地の深海にある岩石の組成に着目し、そこに含まれる高濃度のイリジウムを取り上げるものでした。

イリジウムは宇宙と比べ、地球上では非常にレアな物質です。
それが急に大量に濃縮された地層や岩石があれば、その時代に地球外から飛来した隕石に含まれていたと推測することができます。

中には環境作用でたまたま凝縮された場合もありますが……。

巨大な隕石が地球に衝突した場合、巻き上げた土砂とともに隕石は地球上で拡散、成層圏を浮遊して全地球を覆いつくします。
そうすると太陽光は遮られ、冬の時代が到来し、大量絶滅を引き起こします。

やがて塵は徐々に舞い降りて地上に積もるでしょう。
そうすれば、高濃度のイリジウムを含む類を見ない地層が世界中で生まれるのです。

この仮説が正しければ、高濃度イリジウムを含む地層は陸上でも見つかるはず。
更に、直径10kmのクレーターが見つかるはずです。

1981年、アメリカのニューメキシコ州で、新たにイリジウムの濃集が確認されました。
海ではなく陸で生まれた岩石です。
高濃度イリジウムが、海生生物による濃集であるという説を退けました。

その後も各地でイリジウム異常が見つかりました。
隕石衝突による火災の証拠や、酸性雨の証拠も見つかりました。

1988年、津波によって出来た地層が、テキサス州で見つかりました。
隕石衝突の余波かもしれません。

1990年、クレーターがキューバにあると提言されました。
翌年、ユカタン半島沖のクレーターが特定されました。

これこそが、今では有名なチクシュルーブ・クレーターです。

このクレーターは海の中にありますが、闇雲に潜って見つけ出したわけではありません。
なんと、石油会社の過去の取り組みがヒントでした。

メキシコの石油会社が、地下深くに変則的な構造があることを見抜いていたのです。
同社はオイルトラップの痕跡を予測し、1960年に資料を採取していました。

実際には溶解岩だったので、石油は見つからずそのままになっていました。
しかし、当時のボーリングコアは残っていた!

その溶解岩こそがクレーターの痕跡だと、地質学者の研究チームが突き止めたのです。

仮説の登場から10年と少し。
瞬く間にして怒涛の発覚でした。

今では衝突が6月だったことまで突き止められています。

恐竜絶滅の原因をめぐる所説まとめ

ここまで、海洋無酸素事変や寒冷化、火山の噴火に隕石と、大量絶滅をめぐる様々な説を紹介してきました。

特に恐竜絶滅の原因については、寒冷化からの火山の噴火、隕石衝突のコンボが怪しいですね。
まあ、6500万年も前のこと、確実にはわかりませんが……そうは言っても、結構確実と言われています。

最初の頃は大氾濫していた様々な説ですが、隕石衝突は今では決定的です。
これが生態系に影響を及ぼさなかったとは考えられません。

だからこそ、今では恐竜絶滅の原因は隕石衝突説が定説となり、他の説は主因ではなく関連事項として研究が進められているんですね。

ちょっとは納得できたでしょうか。
まだまだ掘り下げたい気鋭の読者様は、一番下の参考文献も見てみてね!

さて、次項からは関連世界遺産の紹介です!

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デカン高原の『エローラーの石窟寺院群』

世界遺産『エローラーの石窟寺院群』の写真。

100km北東にある『アジャンターの石窟寺院群』とともにインドで有名なのが、世界遺産『エローラーの石窟寺院群』です。

どちらもデカン高原にあり、世界遺産になったのも、両者1983年でお揃いです。
でも両方紹介するとややこしいので、ここではエローラーの方を取り上げますね。

デカン高原ということは、白亜紀末に流れ出た玄武岩の石窟なのか!
――と、関連を期待したくなりますが、白亜紀の終わりは約6500万年前です。

現代のデカン高原に行ったからと言って、あちこち玄武岩だらけとは限らないのです。

むしろ、玄武岩は硬いので、掘削に向いていません。
シンプルに考えて、寺院を作るのにわざわざ選ぶ場所ではない。

しかし、いずれにしても、デカン高原。

そこに火山活動の面影を感じるのは、知識があれば難しくありません。
デカン高原の場合、広い範囲での隆起などではなく、間違いなく噴火でもたらされた高い土地であることを皆さまは既に知っています。

膨大な溶岩を吐き出した噴火活動の壮大な規模と、その災害の跡を塗り替えた青々とした大自然の力を、高原の風とともに感じてみましょう。
地形ってすごいよね。

それはそれとして、エローラーはなんと、3つの宗教が入れ替わりに寺院を作った珍しい地でもあります。
仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟寺院が集まっているのです。

仏教窟が最初の走り。
最大なのはカイラーサ寺院と言って、ヒンドゥー教窟です。

そして、それらに触発されたジャイナ教徒たちがこぞって岩を掘りだしたのが最後。

ジャイナ教の寺院はほとんどが未完だそうです。
最初から大きすぎる目標を見ると挫折する――ということかもしれない。

しかし、トルコの世界遺産『イスタンブルの歴史地区』にあるアヤ・ソフィアのように、異なる宗教が同じ土地に目を付けた時、後から来た方が前の遺産を壊してしまうことは多いのです。

まあね、正直、邪魔だと思うんですよ。
その土地の心の在処を蹂躙すれば、抵抗の意思をそぐこともできるかもしれませんね。

帝王学とか兵法は知りませんけど。

支配者自身、異教徒の文化で自分の心が揺さぶられるのが許せない、って恐怖もあるかもしれません。
ほら、熱心な信者であればあるほどに。

まあイスタンブルの場合は中心都市の施設なので、僧院ばかりが集まるエローラーとは勝手も違うでしょうけどね。
それでも稀有な事例であることに違いはありません。

一神教と多神教の受容力の違いとかも、もしかしたらあるかもしれませんね。
是非、各宗教ごとの寺院を見比べてみてください。

第1窟~12窟が仏教窟、第13窟~29窟がヒンドゥー教窟、第30~34窟がジャイナ教窟です!

カナダの『ダイナソール州立公園』

世界遺産『ダイナソール州立公園』の写真。

さて、恐竜、白亜紀と言えば、やはりここ――。

カナダの世界遺産『ダイナソール州立公園』です。

カナディアン・ロッキーの南東部にあります。
まさに恐竜化石のメッカですね!

ティラノサウルスやトリケラトプス、パラサウロロフスだって出ています。
その数なんと、50種以上、完全骨格すらも150体!

全世界で見つかった恐竜のうち、20分の1はカナディアン・ロッキー産だそうです。
そう言われても中々ピンとこないものですが……すごいんですよ。

見渡す限りの広大な荒れ地は、その景観も評価されて世界遺産になっています。
圧巻ですよ、多分。

……いくちゃんはカナダに行ったことないですけどorz

しかし露出する白亜紀の地層には、まだまだたくさんの恐竜が眠っているでしょう。
北アメリカこそは、恐竜研究のフロンティアです。

恐竜化石に恵まれた地域は他にもありますが、研究環境面でもここに勝る土地はありません。
少なくとも今のところは。

だからみんなが知る恐竜は、アメリカ産に大幅に偏っていますね。
白亜紀の恐竜の出身地は以下の記事をご覧ください。

恐竜好きなら一度は訪れるべき、そんな世界遺産でした!

ユカタン半島の『ウシュマルの古代都市』

世界遺産『ウシュマルの古代都市』より、「魔法使いのピラミッド」の写真。

チクシュルーブクレーターはどうでしょうか。

その場所はユカタン半島沖でしたね。
もっと言うと、北西沖です。

ユカタン半島と言えばマヤ文明ですね。
メキシコの世界遺産『ウシュマルの古代都市』は、比較的クレーターの近くに存在する世界遺産です。

ウシュマルは陸地のジャングル地帯ですが、チクシュルーブクレーターも大きいので、海だけで完結しているわけではないんですよ。

まあ、デカン高原とは違い、その現在の姿から過去の大災害を思い浮かべるのは簡単ではありませんけどね。
地質学者たちが見つけるのにも難儀した痕跡ですし。

でも、魅力的な世界遺産なので見ておきましょう。

ここはマヤ文明の中でも、7~10世紀頃に繁栄した後期マヤの中心都市の一つ。
交易都市であり、アイディア交換の場でもありました。

足元が曲線的で角ばらない「魔法使いのピラミッド」は、ウシュマルならではのスポットですね。
プウク様式の傑作らしい「総督の館」や、「尼僧院」も有名。

……プウク様式って何でしょうか。

マヤ文明の建築様式の一つだそうです。
実はこの遺跡のある一帯が、まさにプウク地域と言われるらしいですよ。

建物の上下を水平にきっぱり分けた建築様式で、下部は自然な色の無地石を積み上げ、上部は一転人工的な雰囲気で装飾するのです。
特に上の方には象徴的なモチーフを用いていて、大抵のプウク様式は雨の神チャクモールの彫像などがあると言います。

上の写真を見ると、自然な色の石を積み上げた風の曲線的な建物の上部に、突如暖色の四角い構造部が見えますね。
これで一つの建物なのですよ。

モザイク模様が綺麗ですね。

恐竜絶滅とはさっぱり関係ないとは言え、場所だけはクレーターに比較的近い土地。
ゆかりの〝場所〟を見に行くついでに、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

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主な参考文献

さて、参考文献です。
まだまだ掘り下げたい人はご参考ください!

まず、この記事を書くにあたって一番の立役者がこちら。

・平野弘道『絶滅古生物学』2006年

様々な説を並列して研究史を概観する書籍です。
今までの研究成果とか、広く見られますよ。

恐竜絶滅の白亜紀末だけでなく、古生代以来の5つの大量絶滅をさらってみたい方にはおすすめです。
正直、たった一人でよくぞここまで書けるものだと、その広範な情報と正確さに敬服します。

アルヴァレス親子の論文も概観できますよ。
どんな風に仮説が論証されていったのか、手に汗握る科学界の動きもわかります。

更に、もう少し一般向けでおすすめできるのがこちら。

・マイケル・J・ベントン『恐竜研究の最前線 謎はいかにして解き明かされたのか』2021年

邦訳が2021年の本で、原著も2019年の新しい本です。

隕石衝突で巻き起こされたディストピアの情景や、衝突6月説の根拠など、こちらの本を読めばわかります。
石油会社のコアからわかったって話も、この本からですね。

あと、巻末には恐竜絶滅の様々な説のリストがあります。
恐竜が爆発的に〝増えた〟カーニアン多雨現象についても、この本の最初の方にありますよ!

のめりこめる本ですが、情報量が膨大なので、一気読みするとグロッキーになります(私はw)。
面白さゆえですね……!

特に恐竜に興味が強い方は、先にこっちを読んでから『絶滅古生物学』に行くと、知識も補えて丁度良いかもしれません。

また、噴火が気候変動を和らげたかも、って説は、こちらの記事で見ましたね。

・『ナショナルジオグラフィック別冊 新説・恐竜 塗り替えられたその姿と生態』2023年

大量絶滅を生き残った鳥類の話もありますよ。

そして以下、言わずと知れた『世界遺産大事典』ですが……。
2024年4月に、3冊セットの改訂版が出ますね! やったあっ!

早期購入者特典があるそうなので、今から楽しみに待っています。
それはそれとして今回は、2020年の上下分冊版。

・NPO法人世界遺産アカデミー『世界遺産大事典〈上〉』2020年

・NPO法人世界遺産アカデミー『世界遺産大事典〈下〉』2020年

その他、本文中でリンクを挿入したUNESCOの各記事も参照しました(主に『ウシュマルの古代都市』)。

次に読むおすすめ記事はこちら。

この記事を書いた人

小説書きが高じたあまり、世界をもっと識りたくなり、夢の一つは全国家踏破! 毎日読書や勉学しながら、色んなことに挑戦中。目下の課題は旅に慣れることと、五感を通じて見聞を広めること。たまーに動画で生配信します。詳細はプロフィールページから。

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