岩手には実は、世界遺産が3つあるんですよ!
2011年の『平泉』に、2015年の『明治日本の産業革命遺産』。
そして2021年、『北海道・北東北の縄文遺跡群』の「御所野遺跡(ごしょのいせき)」!
というわけで、今回は一戸町(いちのへまち)の「御所野遺跡」へ、青森県から向かいます。
世界遺産「御所野遺跡」とは
世界遺産『北海道・北東北の縄文遺跡群』の中で、大きな集落の遺跡とされる場所は3つあります。
青森県青森市の「三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)」に、北海道函館市の「大船遺跡(おおふねいせき)」。
そして、岩手県一戸町の「御所野遺跡」。
どれも縄文時代中期の、一番集落が大きかった時代……。
温かくて過ごしやすく、定住文化も発達して活発になった時代。
「三内丸山遺跡」の周りにはクリ畑が広がり、「大船遺跡」では高さ2mの竪穴建物が掘られ――。
そして、一戸の「御所野遺跡」では、類稀な土屋根の住居が集まりました。
初めて復元図が共有された時、関係各所は驚いたようです。
今まで縄文時代の住居と言えば、茅葺の屋根が標準でしたからね。
土屋根!?
冗談だろう、そんな住居では過ごしにくい!
なんて声もありました。
そこで御所野遺跡は、世界的に見ても貴重な面白い試みをしています。
これについては、現地で確認するとしましょう。
さて、いざゆかん、縄文中期の土屋根集落、「御所野遺跡」の御所野縄文公園へ!
一戸駅から御所野縄文公園へ出発!
まずは電車で一戸へ向かいましょう。
青森県内の〝青い森鉄道〟は、岩手県内の〝IGRいわて銀河鉄道〟と繋がっています。
別の路線ですが、どうもかつては今のJR東日本と繋がっていたようです。
ていうか、一応今もJRみたいだし。
青い森鉄道の車両に乗っていても、そのままIGRの駅まで行けるのですよ!
そんなわけで、IGRの駅である一戸駅から、青い森鉄道の車両をぱしゃり。
一応別の路線の車両が侵入している状況ですから、ちょっと面白いですね。
さて、駅の外へ向かいましょうか。
のどかな周囲の環境が写っていますね。
実際、のどかで良いところです。
何気にこれが、いくちゃんの岩手初上陸でしたよ。
素敵ですね!
PRもばっちりです。
田舎だからこその、こういう一途なところが好きなんですよね。
岩手、良いところだな。
そんな風に思いつつ、一戸の駅をふらふら。
吹奏楽部の定期コンサートのポスターとかありますね。
あぁ、このローカルっぽさ、よい……好き……。
――おっ、縄文の展示もありますよ。
楽しみながら隅々まで駅を見ていると、先ほど運賃を精算してくれた駅員さんに話しかけられました。
「今日いま、そこにお弁当屋さんが来ているんですよ。復刻の珍しいのが、今日だけ、たまたま! 美味しいんですよ!」(要約)
ほう?
何やら偶然の出会いがあるようですね。
「ちなみに私は今から買いに行きます」(ちょー嬉しそう。要約)
釣られて頂きました。
こいつはお昼ごはんにしましょう(((o(*゚▽゚*)o)))
さて、御所野縄文公園へ向かいますよ。
御所野縄文公園への道ゆき
他に利用客はおらず、のんびりとした(でも営業利益はちょっと心配になる)一戸駅。
御所野縄文公園までは、しっかりバスが出ています。
でも歩いても30分程度なのです。
バスの本数も少ないし……天気も良いし!
歩きますか(((o(*゚▽゚*)o)))
……てなわけで、暑いけどのどかな道を行きましょう。
まずは上の写真の左側へ行きます。
良い天気でしょ?
快晴じゃなくて雲があるのが、余計に暑くなくて良いのですよ。
そして周囲に緑が多く、建物も低い。
落ち着く要素が勢ぞろいですね。
分かれ道が出没する度に、案内標識が現れます。
構造物の少ない道なので、広々としていてすぐ目に付きますね。
都会だと看板も溢れかえって、こうはいきません。
田舎の道は、何でも目印になるのです。
色んな看板があって面白いですね。
同じような看板が、延々続くわけじゃないのです。
むしろ全部違う勢いです←
ほら、今度は縦長の茶色い標識ですよ。
これなら道に迷う心配はありませんね。
あと、どう考えても徒歩での訪問客を想定している。
バスの本数が多くても、30分くらい歩いちゃう人はいるでしょうし。
色んな層を呼び込む準備ができている感じ、とても好印象です。
この道がね、歩いていて心地よいのですよ。
岩手は初めてなのに、なんか懐かしい気もして。
蝉の鳴き声を聴きながら、トトロの田舎に落ち着くような感覚でした(笑)
水樹奈々さんの「夏恋模様」とかも、ぴったりかもしれませんね。
この風に触れると
一瞬でこゝろ
ほどけてしまう 「ただいま」と自分に呟く――夏恋模様(作詞:藤林聖子)『IMPACT EXCITER』2010年
今回はあぜ道とか無くて舗装された道で、暑くもありましたが。
緑に囲まれた上り坂など歩きながら、しみじみと季節を感じたものです。
そして、やがて現れるのがこちらですね。
御所野縄文公園の入口、きききの吊り橋です。
小屋のような見た目ですが、この後ろにずっと伸びて吊り橋になっているのですね。
ここを渡って、いざ、御所野遺跡へ°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
吊り橋を渡った先に、御所野縄文博物館!
きききの吊り橋を横から見ると、こんな感じ。
この菱形の構造物の中を、歩いて博物館方面へ向かうわけです。
世界でも珍しい曲線構造ですよ。
橋の下は、低湿地遺跡ですかね?
まあ、谷底ですね。
中から見ると、こんな感じ。
夏ですねぇ……。
この、季節を感じられるのが良いんですよね。
御所野縄文公園は、景観もとてもよく作られていて、2023年のグッドデザイン賞というのも得ているようです。
吊り橋の中には、縄文土器の展示物もあります。
わくわくしますね。
曲がっているから先が見えない。
前後に繰り返す黒と白。
適度に入る光と影も相まって、わくわく感を醸し出してくれます。
そして、音です。
下の谷には、狭い川が流れています。
暫く歩くと水音が聴こえ……そして間もなく、光が翳り始める。
木々の間に入っていき、蝉の鳴き声に包まれるのです。
抜けた先には――。
御所野縄文博物館です。
この演出が、本当に好きなのですよ。
時期や天候にも恵まれました。
御所野縄文公園を見て歩く!
さて、そうは言っても博物館は有料です。
有料施設は、基本写真を載せない……と言っていたので、撮ってすらいませんでした。
ええぇw
今の私なら、記録のためにも撮りまくった上で、見返しながら記事を書くのにw
まあ、常設展示図録はしっかり買って(ry
とても充実していましたよ。
見せ方にもこだわっていて、映像展示の部屋では四季を体感できます。
私自身は、映像展示そのものがあまり得意ではないのもあって、周囲の石器とかの展示を興味深く見ていたものです。
ほうほう、頁岩は秋田の八郎潟の辺りで良く取れるのか……職場に八郎潟の人たちいるなぁ。
とか。
そういうのって記憶に残るよね。
ちなみに、今回も水樹奈々さんのライブTシャツ着ていったら、受付の方とLIVE PARADEの話で盛り上がりました°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
わーい(((o(*゚▽゚*)o)))
博物館を楽しんだ後は、いざ、遺跡です。
東むらには、土屋根の竪穴住居が立体表示されていますね。
夏なので屋根もふさふさです。
土屋根って、季節感あるんですよね。
中にも入れるようなので、覗いてみましょう。
びっくりしてください。
この暑い夏の日、エアコンも何もないこの土屋根住居……。
丸太の椅子がありますね。
詳しくないけど、もしかしてクリでしょうか?
御所野遺跡の住居は、主にクリ材を使って建設されたようですよ。
座ってみましょう。
あぁ、涼しいですね。
土屋根住居なんて、暑くてたまらない――なんて言った人もいたようですが。
とても涼しく快適です。
暑いと思った方は、きっと閉鎖的で風が通らないからと感じたのでしょう。
まるで、分厚い衣服を着ているようだと。
でも、実際は、とても涼しいんです。
想像ですけど、屋根の上で土の水分が蒸発することで、内部まで熱が入ってこないんじゃないかな。
夏になれば植物が生えますから、彼らも日よけになってくれますね。
※その後ご指摘を頂きました。
草が生えることで、土屋根の温度は維持されるようです。土だけだと40℃まで上昇するとか。※
やはり、試して初めてわかることがある。
帰納法的な実験を繰り返し、人は多くのことに気づくのです。
さて、外を歩きましょう。
色々と植えられていますね。
これはウルシかな?
御所野縄文公園には、たくさんのウルシも植わっています。
縄文と言えば、漆ですからね!
え、なんで「ウルシ」と「漆」が混ざっているんだって?
生き物の名前はカタカナで「ウルシ」、でも漆器とかの作品は「漆」です。
japanには、漆とか漆器って意味もあるそうですよ。
chinaなら、磁器や瀬戸物ですね。
縄文時代から発展した豊かな漆器文化が、日本の代名詞になっているのですね。
ほら、ウルシ。
御所野縄文公園には、こんな実験地もあるのです。
ウルシは重要ですからね。
もちろん、他の木々も植わっています。
これは、なんでしょう。
クリかな……?(わからない)
先ほど書いたように、縄文人にとってもう一つ重要だった木がクリですからね。
色んな遺跡公園で、クリの木もよく植えられています。
中央ムラも見に行ってみましょう。
この中央ムラでは、組石遺構が展示されています。
焼けた動物の骨たちも出ているようです。
また少し、雰囲気が違いますね。
なんだか、盛りだくさんで疲れてきました。
ちょっと一回休みましょう。
中央ムラの側に、屋根のある休憩スペースがあります。
お昼休憩したいね。
ほら、せっかく買ったし。
一戸駅で手に入れた、この日限定のお弁当です。
開けてみましょう。
美味しそうですね。
刺激的すぎて疲れた脳に、よく効きそうです。
大満足ですからね、今日。
いただきまーす……。
――うん、美味しい。
どんな味だったか覚えていないけど、美味しかったのは覚えている(定期)。
パネル展示もありますね。
こんな感じ。
……なんだか、本当に疲れてしまったので、休憩がてら、本を読みましょう。
ええ、売店で買っていたのです。
5冊ほど。
博物館の二階にあるんですが、たくさんの本が置いてあって、良かったですよ。
縄文の文化や歴史を、しっかり伝えようという姿勢が好印象ですね。
中々に密度の濃い本も置いてありました。
研究者が書いたハードカバーの本とかもね。
世界遺産『北海道・北東北の縄文遺跡群』の中で、一番書籍が充実していると感じたのは、ここでした。
冊数で言うと、「三内丸山遺跡」とかも多いんですけど、ラインナップの充実度も含めて、「御所野遺跡」の印象が強かったです。
まあ、たぶん三内丸山の方が、ライトな客層が多いんだと思うんですよ。
御所野に来る人の方が、より縄文への興味の質が深かったり、知識があったり……と、傾向はあるのかなと。
まあ、全体的な印象ですよ。
で、ごつい本をバリバリ読むほどの時間も無いので、取り敢えずここでは展示図録を振り返り。
休憩にならないじゃん、と自分に呆れ、一時間ほどで散策を再開します。
そしてこれですね。
疲れていても、ここはスルーできません。
土屋根住居の消失実験跡です。
実は御所野遺跡・西むらでは、竪穴住居の焼け跡も発掘されています。
果たしてこれは、どのように燃えたのか?
或いは、どのように建てられた住居だったのか?
色々と考えて計算したところで、最終的には百聞は一見に如かず。
実験です。
御所野遺跡は、世界的にもレアな実験をしました。
住居を一から復元して、燃やすのです。
詳細は博物館で、充実の展示がありますね。
どんな風に家が建てられていたのかもわかります。
そして現在、埋まっていく様子を経過観察している段階です。
燃やされた後の建材が、草の間から顔を覗かせています。
燃やした結果、色々なことがわかりました。
まず言えるのは、どうやら意図的に燃やしたらしいとのこと。
火事ではありません。
自然発火程度では、すぐに火が消えてしまいました。
かなり確定的に、わざと燃やしています。
そして、意図的に燃やし尽くした結果、発掘された通りの建材の崩れ方を再現できました。
これで建て方が確定ですね。
これが、あの……と、目の当たりにしましょう。
テンション上がります←
……さて、そろそろ、本当に疲れてきました。
根性で歩きつつ……。
帰りはバスで
唯一、何度も行きたい場所でした。
とか言いつつ、中々機会を持つまではいかないのですが、本当に落ち着く空間なのです。
公園自体は無料で入れるので、ピクニックのようにシートを広げているご家族もいましたよ。
珍しい生き物も住んでいるようです。
あぁ、良い空間だ……。
ぜひとも、四季折々の御所野縄文公園を楽しみたいですね。
公式Xでは、毎朝の御所野縄文公園の様子をポストしてくれています。
こんな感じで、毎日投稿しているようですよ。
ぜひ、楽しんでみてください。
実は、もう少し北の二戸町(にのへまち)は、漆で有名なスポットなのですが……。
一度目はここだけで充分でした。
気になる人は、こちらもチェックしてみてね!
二戸町、うるしの國・浄法寺。
余裕があったら、私も行きたかったー。
でも、だいぶ疲れたし。
バスで駅まで帰りましょう。
行きと帰りで交通手段が違うからこそ、新たに見える景色もある。
車で道を通ってきても、案内はしっかりあるようですね。
良い場所でした、御所野縄文公園。
文句なしのお気に入り。
楽しかったよ°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
御所野遺跡(御所野縄文公園)へのアクセス
☆ガイダンス施設
御所野縄文博物館
〇バス・電車の場合
1,IGRいわて銀河鉄道で一戸駅へ
→岩手県北バス「御所野縄文公園線」で約10分(冬期間12~3月運休)
※4~12月は一戸駅からレンタサイクルあり
2,JR東北新幹線で二戸駅へ
→岩手県北バス「御所野縄文公園線」で約25分(1日1便、冬期間12~3月運休)
〇車の場合
一戸ICから約5分
◆観覧料:大人300円、大学生200円、高校生以下無料
◆開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
◆定休日:月曜日(祝・休日の場合は翌日)、祝・休日の翌日(土日を除く)、年末年始(12月29日~1月3日)
☆遺跡見学
御所野遺跡(※博物館に隣接)
◆観覧料:無料
◆開館時間・定休日:特になし
主な参考文献など
ドラマティックな御所野遺跡の軌跡が気になる方は、ぜひこちらを!
開館・開園の瞬間から、情緒的なストーリーで御所野遺跡を描き出してくれます。
面白いエピソードも盛りだくさん。
もちろん、各むらの特徴などの学術情報も入っているよ!
文句なしにおすすめの一冊です。
その他、以下のWebページなど。
- 一戸町教育委員会、縄文遺跡群保存活用協議会「世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群「史跡御所野遺跡」」(公式パンフレット)
- 「御所野遺跡 – 【公式】世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群 (jomon-japan.jp)」
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